肥満とは
肥満とは、身体に脂肪がたまりすぎて、体重が増えている状態のことを言います。肥満状態かどうかは体格指数（BMI）によって簡単にあらわすことができ、BMIが25.0以上になった場合肥満と定義されます、さらに35以上になると高度肥満と定義されます。
BMIは以下の計算式で導きだすことができます。
| BMI=体重（kg）÷身長（m）2 |
肥満症とは
肥満は前述のとおり、身体の状態を指す言葉です。これに対し、肥満症は肥満によって健康障害がおこっているかおこるリスクが高く、肥満解消のための治療が必要な状態を言います。
日本肥満学会が作成した『肥満症診療ガイドライン2022』によれば、以下の1．2．の双方に該当している場合、肥満症と診断します。
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1．肥満と診断されていること（BMI=25.0以上）
2．肥満症の診断に必要とされる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧など11種類の指定疾患を合併していること
※肥満症の診断に必要な11種類の疾患は、肥満によっておこるか肥満に関連しておこる疾患で、減量により症状が改善するという科学的根拠がある程度蓄積されているもので構成されています。
※内臓脂肪型肥満と診断されている場合は、現状で健康障害がなくても肥満症と診断されます。ウエスト周囲長（立位でおへその上の周囲を計測した数値）で男性85cm以上、女性90cm以上の場合内臓脂肪型肥満の傾向が高いとされ、精密検査（腹部CT検査など）で内臓脂肪面積が100cm２以上の場合、内臓脂肪型肥満と確定診断されます。
なお、肥満症の診断に必要な肥満に起因ないし、関連し、減量を要する健康障害の詳細は以下の通りです。
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治療について
肥満症の治療は、まず減量で行いますが、減量そのものが目的ではなく、減量によって現在おこっている健康障害を改善するか、またはこれからおこり得る健康障害を予防することにあります。そのため、栄養のバランスをしっかり踏まえた上でのカロリーコントロールによる食事療法を行い、さらに運動療法を加えて体重をコントロールします。
通常の肥満症の減量目標は現体重の3％を下げることです。80kgの方だと2.4kg程度ということになります。またBMI35以上の高度肥満症の方は5～10％を目標とします。
当院では、肥満症と診断された場合は、まず管理栄養士による食事指導を受けていただくようにしております。
これらの治療で効果が見られない場合は、薬物療法を試みます。
よくある質問
肥満症はどんな病気を引き起こしますか？
2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症（コレステロール・中性脂肪）、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝（NAFLD / NASH）、動脈硬化・心疾患、関節疾患（膝・腰の痛み）などを引き起こす可能性があります。
肥満症は、どのように診断されますか？
日本肥満学会の基準では、BMI（体格指数）25以上の方は、肥満と言い、さらに合併症がある場合は肥満症と診断されます。
GLP-1受容体作動薬は肥満症の治療にも適用ですか？
適用となる場合もありますが、糖尿病をお持ちで無い場合では、大学病院などの教育認定施設で毎月通院し、少なくても6ヶ月以上の栄養指導を行わないと処方することができません。GLP-1受容体作動薬は食欲を抑え、満腹感を高め、体重減少をもたらします。日本でも肥満症治療薬として承認された製剤がありますが、医師の診察・大病院での処方・適応判断が必要です。当院では、糖尿病患者以外での保険処方は行えません。当院は、自由診療であれば即日に使用可能です。
肥満症は治りますか？
適切な治療を続ければ改善可能です。
体重を5〜10％減らすだけで、糖尿病や高血圧などのリスクを大きく減らすことができます。
短期間のダイエットよりも、「続けられる生活習慣の改善」が大切です。
食事制限が苦手なのですが、どうすればいいですか？
無理な制限よりも「習慣の見直し」が重要です。飲み物を水やお茶に変える、間食の頻度を減らす、夕食を早める、よく噛む・ゆっくり食べるなどできることから始めていきましょう。
管理栄養士によるサポートも効果的です。
