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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺機能に障害がおこり、甲状腺ホルモンが分泌されすぎることによって様々な症状があらわれます。
甲状腺ホルモンが過多になる原因としては、甲状腺の機能が亢進されてホルモンが過剰に分泌されるケースと、甲状腺の炎症によって細胞が破壊されホルモンが血中に放出されてしまうケース、治療薬や無認可のダイエット薬などで甲状腺ホルモンをたくさん摂り過ぎてしまうことが主な原因です。このうち甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる疾患の代表としてバセドウ病があります。
甲状腺機能亢進症の治療は、疾患によって異なりますので、内分泌内科などの専門医に相談することをお勧めします。

バセドウ病について

人口1000人あたりに多くとも3人程度の比較的稀な疾患ですが、比較的若い女性に多い傾向があります。甲状腺機能が亢進する疾患の中では一番ポピュラーなもので、別名をバセドウ氏病、グレーブス病とも言います。
多汗、動悸、手のふるえなど新陳代謝の亢進による身体的症状のほかに、イライラしやすいなど精神的症状があらわれることもあります。
薬物治療やアイソトープ治療など、適切な治療を行うことで症状をコントロールすることができますが、放置することで重症化すると心臓機能などに負担がかかりますので、早期のうちに治療を開始することが大切です。

バセドウ病の原因

バセドウ病は自己免疫疾患の一つです。甲状腺ホルモンは、下垂体で分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)を受け取るための受容体が刺激されることで分泌されます。何らかの原因で、このTSH受容体に対する抗体が作られてしまい、常に受容体が刺激され続けることで、甲状腺ホルモンが作られ続けて、大量に分泌することになっている状態です。なお、TSH受容体に対する抗体が何故作られるのかは、はっきりとはわかっていません。

バセドウ病の症状

  • 何もしていなくても動悸が激しい
  • 汗が多い、暑がりになってきた
  • 手がふるえる、細かい文字が書きにくい
  • 体重が理由なく減ってきた
  • 身体に力が入らなくなってきた
  • 疲れやすくなってきた
  • 長期間下痢症になってきた
  • 微熱が続いている
  • イライラする
  • 眠れなくなってきた
  • 目が飛び出てきた
  • 首が腫れてきた
  • 月経が来なくなった
  • 月経周期が不順になった
  • 不妊

など

バセドウ病の検査と診断

血液検査によって、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の高値、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低値、抗甲状腺抗体(TRAb)の有無などを調べます。また心電図検査や頸部超音波検査なども行い、甲状腺の血流の状態、腫れなども調べて総合的に診断することになります。

バセドウ病の治療

甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬による薬物療法、放射性ヨードによるアイソトープ治療、外科的手術などの治療法があります。

薬物療法

甲状腺ホルモンの分泌を抑制する薬による薬物療法です。症状の軽い方、甲状腺があまり腫れていない方などの他、妊娠中の方にも適した療法です。ただし、稀にではありますが、重篤な副作用がおこることがありますので、あまり日をあけずに通院を続けて経過観察を行う必要があります。

薬物療法の副作用

抗甲状腺薬の副作用の多くは、かゆみや蕁麻疹などで、ひどい場合には、薬剤変更や治療方針の変更を検討し、抗ヒスタミン薬などで抑えます。他には肝機能障害、発熱、紅斑、筋肉痛、リンパ腫超などの全身性エリマトーデスに似た症状などがあらわれることがありますがこれらは稀な症状です。
こうした中で最も気をつけなければならないのが無顆粒球症候群で、顆粒球やリンパ球などは白血球の構成要素として免疫システムに重要な働きをしていますが、顆粒球がなくなったり、少なくなったりすることで免疫システムに重大な影響がでるというものです。頻度は1000人に1~2人と稀ではありますが、1000人服薬すると1人はこの副作用がでるという数値は決して無視できるもものではありません。
原則治療を開始して3週間以内に血液検査を行い、無顆粒球症の有無を確認します。

アイソトープ治療

薬物療法による効果が得られない方、薬による副作用が強い方、バセドウ病の手術をうけたけれど再発した方、心臓や肝臓に持病をもつかた、短い期間でバセドウ病を治したい方にお勧めなのがアイソトープ治療です。アイソトープ治療は放射線ヨードのカプセルを服用する方法で行う治療で、その安全性については、この治療法の先進国であるアメリカで追跡調査が行われており、それによってがんや白血病を誘発するものではないことが実証されています。そのため、バセドウ病を発症しやすい若い女性がこの治療を行っても将来の妊娠に影響がないことも確認されています。ただし、現在妊娠中やその可能性がある方、授乳中の方、近い将来に妊娠を考えている方などはこの治療を受けることはできません。また、この治療を受けることで将来的に甲状腺機能低下症になる可能性が比較的高いため、治療完了後も定期的な経過観察が必要です。

手術

甲状腺の腫れが大きい場合や薬物療法で効果が得られない方、薬物の副作用が強い方、短期間のうちに症状を解消したい方の選択肢として手術治療もあります。手術は甲状腺の1部を残して切除してしまう方法で、8割程度は手術後に薬を服用しなくてすむ程度まで回復します。
短時間で大きな効果をあげることができますが、入院が必要なこと、のど元に目立たない程度ですが手術痕が残ることなどのデメリットもあります。
手術を選択する場合は、当院と連携する手術実績の高い医療機関を紹介しております。