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不眠症

不眠症は、様々な原因で睡眠の量(一定時間眠ることができたか)や質(ぐっすりと眠ることができたか)が保たれず、目覚めた後に眠気や倦怠感、集中力の低下、食欲の低下などといった日常生活の質を大きく低下させる症状があらわれている状態をいいます。
睡眠時間が短くても、すっきりと目覚めて日中の活動に影響がない場合は不眠ではありません。
日本で不眠症にかかっている患者様は5人に1人とも言われており、国民病の一つに数えられています。とくに中年以降になってくると罹患数が増えてくる傾向があります。

不眠症の原因

不眠症の原因なんらかの理由で、なかなか寝付けないということは誰でもあります。病気など身体的な要因、騒音など物理的な要因、ストレスなど心因的な要因、うつ病など精神疾患からくる要因、薬の副作用など不眠の要因には様々な原因が考えられます。

非日常の興奮からくる
正常範囲のもの

何らかのイベント、デート、大事な発表などを翌日に控えているときにかぎって寝つきが悪い、眠れないことがあります。これは精神的に興奮して交感神経が優位になっているための一時的なもので、まず心配はいりません。
しかし、そうした日々のイベントの頻度が多くなるようなケースで、眠れない日が続き、次の日の日中に支障がでるようでしたら、治療の対象となることもありますので、一度ご相談ください。

体調不良や病気などの
身体的な原因

腹痛や頭痛、風邪、逆流性食道炎などが原因となって、睡眠に障害がおこり、それが続いているようなケースです。
まずは原因疾患を適切に治療することが大切で、個別の疾患の症状が軽快することで、眠れるようになることがほとんどです。

環境の変化や時差など
物理的な原因

寝具を変えた、寝室のエアコンが効かない、近くで深夜工事があって騒音がひどいといった身近な変化や、引越、出張続きでホテル暮らしが長い、海外出張で時差ボケがよくあるなどが原因となって不眠症になることがあります。

ストレスなど
精神的な原因

悩み事をかかえていたり、対人関係でイライラしていたりといったストレスが強くかかっている状態では、心にかかった負荷から自律神経のバランスが崩れて不眠となることがあります。
この状態が続くと、慢性化して治療が必要な不眠症となることがあります。

うつ病などの精神疾患

精神疾患によって不眠になることがります。とくに多いのはうつ病で、うつ病にかかっている患者様のほとんどが不眠症を合併しています。うつ病の場合、早朝覚醒といって朝早くに目が覚めてその後眠ることができないという症状をともなうことが多くなっています。

薬の副作用が原因

ADHDの治療薬など、精神科や心療内科で処方する薬の副作用によって不眠が生じることがあります。また、一部の漢方薬でも同様の症状をおこすことがあります。不眠をおこす漢方薬の成分としては、麻黄の入っているものや、風邪をひいたときに飲む葛根湯などが挙げられます。

不眠症の影響

不眠の状態が続くと、様々な症状があらわれて、次第に日中の生活に大きな支障をきたすようになります。
以下のような影響が考えられます。

  • 日中我慢できないほどの眠気
  • イライラ、あせり
  • 集中力、記憶力、注意力が低下
  • 倦怠感、不定愁訴
  • やる気がでない
など

これらが続くことによって、やがて仕事でミスをしたり、運転中に居眠りをして事故をおこいしてしまったりするような事態につながることもあります。
特別な緊張や、ストレスなどの事情があって一時的に不眠となっている状態であれば、その原因が取り除かれた時に自然と眠れることもあります。しかし、その状態が慢性化して「不眠症」になっている場合は、内科、心療内科、精神科などに相談するようにしましょう。

不眠症の種類

不眠症の原因になる睡眠障害には、入眠障害、中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒の4つのタイプがあります。

入眠障害タイプ

心配事やストレスを抱えているときに多いタイプです。眠ろうとして横になってもなかなか(30分~1時間以上)寝つけませんが、一度眠ってしまうと、朝まで眠れます。不眠症のなかでは一番多いタイプです。

熟眠障害タイプ

睡眠時間は十分なのですが、眠りの質が低く浅い眠りが続くため、目覚めたあとも熟睡感がありません。高齢者や神経質な人に多いタイプの不眠症です。

早朝覚醒タイプ

午前3時から4時といった早朝に目覚めてしまい、そのまま眠れなくなってしまうタイプで、高齢者やうつ病の方に多い不眠症です。

中途覚醒タイプ

寝ている間に、何度も目が覚めてしまいます。ほとんどは、横になっているとまた眠ることができます。しかし、熟睡している時間が短くなっているため、十分に寝たという感覚をもてないタイプの不眠症です。

不眠症の治療方法

不眠が続いて不眠症になってしまった時は、まずは専門家に相談することが大切です。医師は、不眠のタイプや原因を適切に判断して治療方針を提案します。

非薬物療法
(生活習慣の改善)

非薬物療法(生活習慣の改善)騒音や光など物理的なことが問題になっている場合は、その原因を取り除いて眠りやすい環境を作ります。一時的な騒音などは少し待てばよいのですが、幹線道路沿いなどで常時騒音がある場合は、耳栓やノイズリダクション機能があるヘッドフォンなども有効です。
また、緊張やストレスがある場合は、音楽や読書などでリラックスする、シャワーや入浴などで身体を温めるなども有効です。
なお、入浴は睡眠の1~2時間前、食事は4時間以上前にすると眠りやすくなります。

薬物療法

どのようなタイプの不眠症かを判断し、それぞれに対して適切な睡眠薬を処方します。
睡眠薬には、超短時間型、短時間型といった便宜的に睡眠導入剤とよばれるタイプのものや、長時間型、長時間と短時間の中間の型などがあります。睡眠薬というと副作用が気になる方も多いかと思いますが、当院では副作用を考慮した薬の処方を行います。
さらに、睡眠薬だけではなく、精神安定剤や抗うつ薬、てんかんの治療薬とった向精神薬、漢方薬などを組み合わせて処方することもあります。
なお、精神的な要素の強い不眠症の場合、睡眠薬以外の向精神薬などの使い方については、精神科の医師の方が熟達していることが多いため、症状によっては連携する診療内科や精神科を紹介することもあります。

不安な気持ちに対する
治療も

不眠症になると、今夜もまた眠れないかもしれないといった不安が先立ち、眠ることが不安材料になります。すると、自律神経も覚醒に働く交感神経が優位となってしまい、今度は交感神経の働きで眠れなくなってしまいます。この繰り返しによる悪循環で不眠症が続き、どんどん悪化してしまうという事態がおこります。
このような場合は、睡眠薬などによる薬物療法だけではなく、自分がいまどういった状態にあり、それはどんなメカニズムでおこっているのかを知り、困っていることや悩んでいることに対する意識を変えていく認知行動療法などを組み合わせることが効果的です。その場合は、当院と連携する専門の医療機関を紹介しています。

睡眠障害と糖尿病の関係

睡眠障害は血糖コントロールにも悪影響を与える事がわかっております。糖尿病リスクを下げる睡眠時間は短すぎても、長すぎない6〜8時間程度と考えられております。血糖コントロールの観点からも治療を検討ください。