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甲状腺ホルモンと不妊の関係

甲状腺ホルモンと不妊の関係性

日本で甲状腺に何かしらの異常をもっている方は、2014年の調査でおよそ500~700万人といわれています。多い方で見積もるとおよそ人口の5.8%にあたります。
甲状腺ホルモンは女性では妊娠の成立などに大きくかかわるホルモンで、甲状腺ホルモンの分泌に異常が生じると不妊の原因となってしまうのでいます。
甲状腺ホルモンは下垂体で分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によってコントロールされており、両方のホルモンバランスが整うようにコントロールしていくことが大切です。

甲状腺とは

甲状腺はのど仏のすぐ下にあって、羽を広げた蝶のような特徴的な形をした内分泌器官です。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、身体の機能を活発にして新陳代謝を刺激する、成長を助けるなどの機能をもっており、人の身体が正常に働くために欠かすことのできないホルモンの一つです。それに加えて女性の場合は妊娠の成立に大きく関わりがあり、甲状腺ホルモンが過多になったり過少になったりすることで、月経不順や無排卵などの症状があらわれ、不妊や流産をおこしやすくなると考えられています。

甲状腺ホルモンの分泌の仕組み

甲状腺ホルモンは昆布などの食物から取り入れたヨウ素(ヨード)を主原料として、甲状腺内の濾胞という部分で糖タンパクによって生成されます。生成された甲状腺ホルモンは血液中に含まれて全身に供給され、細胞の新陳代謝などに働いています。血中に含まれる甲状腺ホルモンが多すぎても少なすぎても問題がおこるため、この分泌量は、常に脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によってコントロールされています。

女性がなりやすい甲状腺ホルモンの異常

日本人の場合、甲状腺機能に異常をもつ方の男女比率は1対5と圧倒的に女性に多い傾向があります。
甲状腺機能の異常には、ホルモンが分泌されすぎてしまう甲状腺機能亢進症、ホルモンの分泌が少なくなってしまう甲状腺機能低下症があり、それぞれの代表がバセドウ病(亢進)と橋本病(低下)です。バセドウ病は20~30歳代の女性に多く、橋本病は30~40歳代の女性に多いという特徴があり、どちらも妊娠にかかわる可能性の高い年齢層です。
だるさ、いらいら、動悸、体重の増加や減少などといった男女共通の症状とともに、女性の場合、月経不順などが加わり、少し早めの更年期障害と誤解されやすい症状です。
このような症状があらわれた場合、甲状腺機能障害の可能性もありますので、お早めに医師に相談しましょう。近年では不妊の相談にこられる患者様には、まず甲状腺の状態を考慮し、控除腺刺激ホルモン(TSH)の状態などを検査するようになってきているほど、隠れた甲状腺機能の障害で不妊に悩んでいる方が多くなっています。

不妊と甲状腺の病気

甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症、ホルモンが不足する甲状腺機能低下症のどちらも、原因の多くは自己免疫疾患ではないかと考えられています。甲状腺ホルモンは女性ホルモンの分泌にも大きく関わっており、過剰になっても不足になっても月経不順や無排卵などをおこして、不妊につながってしまいます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症の代表的な疾患がバセドウ病で、我が国では人口1000人あたり2~6人程度罹患者がいると考えられています。男女比率は1対4~5程度と女性が多く、20歳代後半から30歳代という妊娠と大きくかかわりのある年代に多くなっています。女性ホルモンへの影響から、不妊や流産などのリスクを上げる原因となる疾患です。

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甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症の代表は橋本病です。こちらも自己免疫がかかわる疾患の一つで、成人男性は40人に1人程度ですが、成人女性は10人に1人と高率になっています。とくに30代から40代の女性に多く、症状が似ているため早めに更年期が来たと誤解してしまうケースも多くなっています。女性ホルモンの分泌にもかかわりがあり、不妊や流産の原因となりやすいため注意が必要です。

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