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食事療法と運動療法

糖尿病の治療法

糖尿病は、偏った食事や運動不足などの要素も大きくかかわっているため、治療においても食事療法と運動療法が大きな意味をもっています。どちらの療法も、最初から厳しい目標を設定すると、挫折してしまう可能性が高くなります。継続していくことが大切なので、生活習慣や環境に合わせて、出来る範囲で食事療法や運動療法を取り入れていく必要があります。
当院では、管理栄養士や看護師などが、制限があっても美味しく続けられる食事方法や、無理なく続けていける運動方法などの相談に乗っておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

食事療法

食事療法のポイント

 
 
 
 
 
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食事療法というと、すぐに食事制限を思い浮かべるかも知れませんが、必ずしも制限とは言えない局面もあります。糖尿病で行う食事療法は、一日に必要な栄養を3度の食事でどのように摂っていくかが課題ですので、必ずしも制限ばかりとは限らないのです。
糖尿病は肥満から始まることもあり、そうした場合に減量が必要になりますので、カロリー制限は必要になることがあります。しかし、糖尿病が進んでくれば、ブドウ糖から細胞のエネルギーが得られなくなり、かわりに脂肪などを燃やすようになってかえって痩せてしまったりします。こうした場合は、適切なエネルギー補給も必要になっていきます。
高齢者や痩せ型の糖尿病の方では筋肉量の確保も非常に大切になってくる為、個別化された指導が必要です。

1.適正なエネルギー量の食事を意識する

一日に必要なエネルギーの量は、その人の年齢、性別、身長、体重、生活習慣、仕事内容などで大きく異なります。そのため、これらのデータにあわせた必要カロリーと栄養素を割り出して、それにあわせた食事内容にすることが大切です。また1日3度の食事のどこでどれだけ食べるか、どのように振り分けるかなども大切な要素になります。これらを考慮した食事方法を身につけていきましょう。ご自身にあわせた1日に必要なカロリー量は以下の式で求めることができますが、計算式中の掛け数などが年齢によって異なってきますので、詳細は日本医師会のページの表などをご参照ください。

日本医師会の参照ページ

1日に摂取練れるギーの推定量(kcal)=
基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル

2.規則正しい食事を意識する

何かを食べた後は、血糖値は必ず上昇します。これは仕方のないことですが、できるだけ毎日きまった時間に食事を摂る習慣をつけること、各食事の間を短くしすぎないことが大切です。
1日3食、できれば最低でも4時間~6時間あけて食べるようにしましょう。
不規則な時間に食べると、血糖値が上昇する時刻がばらばらになって膵臓に負担をかけてしまい、さらに糖尿病が悪化することになります。
また、夕食後は普通あまり活動しませんので、夕食は軽め、朝食と昼食に重きをおくといった食べ方も大切です。
さらに早食いをすると、どうしても血糖値が上がりすぎる傾向があります。よく噛んでゆっくりたべると血糖値の急上昇を抑えることができますので、そうした食べ方も身につけましょう。

3.栄養バランスに気をつける

あまり主菜、副菜、主食といった範疇にこだわらず、全体として栄養のバランスのとれた食事を心がけるようにしましょう。
三大栄養素としてたんぱく質、脂質、炭水化物という分類があり、その他にビタミン、ミネラル類、また食物繊維なども大切です。
糖尿病の場合は、一般的に糖質と脂質を制限することが良いとされていますが、それも治療の状況や服用している薬の種類などによっても制限の内容は異なってきますし、食事の好みまで制限してしまうと、せっかくの食事療法も継続できにくい状態になってしまいます。
また、食後の血糖値の急上昇を抑えるためには、食べる順番に大きく関係があります。
まず、食物繊維の多い食品やたんぱく質を多く含む消化に時間がかかる食品を最初に食べて、最後に米やパン、麺類といった糖質となる炭水化物を食べることで食後血糖値の上昇値をゆるやかにすることができます。

運動療法とは

エレベーターやエスカレーターではなく階段を使うようにする等、普段の生活の中で運動を取り入れていくことは可能です。運動をしてエネルギーを消費することで、筋肉をつけてインスリンの働きを活性化することなどを目的とした運動療法をおこなっていきましょう。

運動のメリット

身体を動かすことによって、エネルギーは消費されていきます。しっかりと運動をすれば、脂肪などの形で蓄積されている余剰エネルギーが消費され、皮下脂肪や内臓脂肪を減らしていくことができます。また、それに加えて適切にたんぱく質を摂取することで、筋肉量が増加していきます。筋肉量が増加すればそれだけ基礎代謝も上がり、インスリンの活動も促進されます。また筋肉は関節を保護しますので、関節痛や転倒も防ぐなどの多数の身体的メリットだけではなく、ストレスの解消など精神面でのメリットにも注目する必要があるでしょう。
これは2型糖尿病だけの話ではなく、1型糖尿病の方もインスリン活性化の効果こそありませんがその他のメリットにより筋力を高めることは大切です。

運動療法の効果

運動を行うことには様々なメリットがあります。その中でも糖尿病をはじめとする生活習慣病にかかわるメリットは以下の通りです。

  • 血中のブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなります。ブドウ糖や脂肪酸の利用が促進されると血糖値の上昇を押さえることができます
  • 2型糖尿病の場合は筋肉量が増加することで、インスリンの働きが活性化されます
  • 基礎代謝が増加し、エネルギーを消費しやすくなることで、ゆっくりと肥満を解消していく効果があります(肥満解消によって、高血圧、脂質異常症などにも有効です)
  • 血液の循環が改善されます
  • 末梢血管への血流も促進され、末梢血管が強くなることで、心配機能が向上します
  • 筋力増強によって体力の維持や増強の効果が期待できます
  • 骨は負荷がかかるほど丈夫になる傾向があります。運動によって負荷がかかることで、骨も丈夫になり、骨粗しょう症の予防や改善につながります
  • 身体を動かすことによって、ストレス解消など精神面の向上も期待できます

どんな運動をすればいいのか

糖尿病の改善に効果的な運動は、激しい運動ではなく、有酸素運動やレジスタンス運動です。有酸素運動とは、呼吸をしながら筋肉を動かす運動で、筋肉を動かすために酸素を消費しています。
具体的な運動としては、ジョギング、ウォーキング(散歩でも可)、タイムを競うのではなくゆっくりと行う水泳、エアロビクス、サイクリングなどが挙げられます。この有酸素運動によって、筋肉への血流が増加し、ブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなり、インスリンの働きが良くなります。
レジスタンス運動は、平たく言えば筋トレのことでスクワットなど筋肉に負荷をかける運動のことです。レジスタンス運動によって筋肉量が増加すれば、インスリンの効果はより高くなります。最近では7秒間かけてスクワットを行う、スロースクワット などの注目度が高いです。
運動による効果は2日程度しかもちません。そのため、地道に続けて行くことが大切です。最初からハードルの高い目標をたてると、身体が辛くなって結局続かなくなってしまいます。
2型糖尿病の患者様は千差万別とはいえ、一部の例外を除いて今まであまり運動習慣がなかった方が多いため、あまりハードルの高くない運動、たとえば1日30分の散歩の習慣をつけるなどから始めるとよいでしょう。

運動量はどの程度必要か

運動によるエネルギー消費は1日の摂取カロリーの2~3割が理想的とされています。
摂取カロリーは食べる量や食べ物によってことなり、一概には言えませんが、減量のためのカロリーコントロールの数値などから、この2~3割の数値を割り出して必要な運動量を求めることができます。
ただし、計算によって割り出した消費すべきエネルギーをまともに実行しようとすると、かなりハードルが高い目標値になってしまうと思います。
そこで運動療法の目標としては、ウォーキングを1日30分程度毎日続けることが推奨されています。ウォーキングはだらだらと歩くのではなく、つま先でしっかりと蹴り出し、ふくらはぎを使うことを意識しながら、かかとで着地する、少し筋肉に負荷のかかる運動です。あまり激しくなく、歩きながらおしゃべりができる程度の速さで行うのが良いでしょう。
30分に慣れて楽になってきたら、少しずつ時間を増やしていくのもよいでしょう。
これに加えて、毎日決まった時間に行うスクワットをお勧めします。スクワットも膝を早く曲げ伸ばしするのではなく、足は肩幅程度に開き、手を前にだしてバランスをとりながら、膝がつま先より前にでないようにゆっくりと5秒で膝をまげ、そのまま2秒耐えて、膝を伸ばすという方式で1日10回をめざすします。普通に膝を曲げるのが怖い方はイスやテーブルに手を添えてころばないようにして行いましょう。

雨の日など、現実的に散歩が難しいこともあると思いますので、エアロバイクや、ステッパなどの自宅運動器具、YouTubeの宅トレ動画などの使用も有効です。とにかく運動を行う事への閾値を下げていただくことは非常に重要です。