【最新版】糖尿病治療薬を徹底比較|効果・副作用・薬価(3割負担)とおすすめを専門医が解説
年間10000件もの外来を行っている、現役糖尿病内科医の薗田です。
糖尿病治療薬は年々進化し、選択肢がどんどん広がっています。 ただし「どの薬を使えば良いか?」は患者さんの体質・合併症・生活習慣によって大きく変わります。糖尿病治療をする上で、どんな薬を使っていて、HbA1cがどのくらい下がってきているのか、患者さん自身で理解することが非常に大切です。
この記事では、それぞれの糖尿病治療薬が「HbA1cがどのくらい下がるのか」「どんな患者さんに合うのか」を私の臨床経験を元にまとめました。 さらに、患者さんにとって一番気になる 薬価(3割負担の自己負担目安) も併せて紹介します。
※私自身がよく処方するお薬順に並べています。
糖尿病治療薬の特徴と薬価(3割負担目安)
①ビグアナイド薬(メトホルミン)
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- 代表薬 :メトグルコ
- HbA1c低下 :0.8〜1.2%(3か月)
- 向いている人:肥満型、インスリン抵抗性が強い人、若年〜中年、腎機能良好(eGFR45以上)
- 薬価 :1錠 約3円(250mg)
- 積極的に使いたい。コストパフォーマンス最強。便通異常はあるが第一選択薬。
②SGLT2阻害薬
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- 代表薬 :フォシーガ、ジャディアンス、ルセフィなど
- HbA1c低下 :0.7〜1.0%
- 向いている人:肥満・体重減少希望・心不全/腎臓病合併例
- 薬価, :1日あたり 約45〜85円
- 積極的に使いたい薬。尿に糖を100g捨てる=400kcal分。1か月で約2kg体重減少。
- 心腎保護の効果もあり、今や糖尿病治療の中心。
③GLP-1受容体作動薬
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- 代表薬:マンジャロ、オゼンピック、リベルサスなど
- HbA1c低下:0.8〜1.2%(マンジャロは1.5%以上)
- 向いている人:肥満合併例・HbA1c高めでも外来管理希望の人
- 薬価:
- マンジャロ:1回 約800〜1000円(週1回注射)
- オゼンピック:1回 約700〜900円(週1回注射)
- リベルサス:1日 約400円(内服)
体重減少効果が強い。マンジャロ、オゼンピック、リベルサスは特に痩せる。消化器副作用に注意。マンジャロは概ね3ヶ月で-4kgほどの減量効果が期待できる。
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④DPP-4阻害薬
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- 代表薬:ジャヌビア、トラゼンタ、ネシーナなど
- HbA1c低下:0.5〜0.8%
- 向いている人:高齢者・腎機能低下例・軽症〜中等症
- 薬価:1錠 約11〜37円
副作用が怖い人向き。先に①②③を優先的に使いたい。低血糖リスクが少なく安全。外国人と比較して、日本人は効果が出やすい。糖尿病治療の守り策、無難な薬。過去に日本で一番使われていた。ジェネリックが出初めて、費用的にも使いやすくなってきた。
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⑤イメグリミン(ツイミーグ)
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- HbA1c低下:0.6〜0.8%
- 向いている人:DPP-4やSGLT2で不十分な例
- 薬価:1錠 約90円(3割負担 約27円)
日本発の新薬。ミトコンドリアに働きかける薬。インスリン分泌とインスリン感受性の両方を改善。
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⑥スルホニル尿素薬(SU薬)
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- 代表薬:アマリール(グリメピリド)
- HbA1c低下:1.0〜1.5%
- 向いている人:インスリン分泌不足型・早急に血糖を下げたい人
- 薬価:1錠 約3〜6円
できれば使いたくない。糖尿病治療薬として最終手段。インスリン使う方がいい。強力に効くが低血糖リスクあり。高齢者では特に注意。
⑦グリニド薬
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- 代表薬:シュアポスト、スターシス、グルファスト
- HbA1c低下:0.5〜0.8%
- 向いている人:食後高血糖主体・HbA1c7%前後の軽症例
- 薬価:1錠 約3〜9円
現在はあまり使われない。飲むのがめんどくさい割に、効果は弱め。できたら他の治療薬で治療したい。食後血糖改善に特化。短時間作用。
⑧α-グルコシダーゼ阻害薬
- 代表薬:グルコバイ、ベイスン、セイブル
- HbA1c低下:0.3%前後
- 向いている人:炭水化物中心の食事・食後高血糖が主体
- 薬価:1錠 約2〜4円
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飲むのが煩雑だが効果は弱い。食後血糖改善に特化。副作用はおなら、腸閉塞リスク。
⑨チアゾリジン薬
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- 代表薬:アクトス(ピオグリタゾン)
- HbA1c低下:0.5〜1.0%
- 向いている人:インスリン抵抗性が強い・脂肪肝合併例
- 薬価:1錠 約10〜20円
できたら使いたく無い。糖を脂肪細胞に強制的に入れる薬。脂肪肝改善に有用だが、太りやすい、心不全、腎不全、骨折のリスクを上げる為、現在はほとんど使われない。
配合錠
DPP-4阻害薬+メトホルミン
・エクメット配合錠(メホビル配合錠)
・イニシンク配合錠
・メトアナ配合錠
DPP-4阻害薬+SGLT2阻害薬
・トラディアンス配合錠
・スージャヌ配合錠
・カナリア配合錠
DPP-4阻害薬+チアゾリジン
・リオベル配合錠
SU錠+チアゾリジン
・ソニアス配合錠
チアゾリジン+メトホルミン
・メタクト配合錠
糖尿病治療薬の薬価一覧(3割負担の目安)
分類 | 薬剤例 | 薬価(1錠/1回) | 自己負担(3割) |
---|---|---|---|
ビグアナイド | メトグルコ | 約10円 | 約3円 |
SU薬 | アマリール | 約10〜18円 | 約3〜6円 |
グリニド薬 | シュアポスト等 | 約16〜28円 | 約5〜9円 |
DPP-4阻害薬 | ジャヌビア等 | 約37〜120円 | 約11〜37円 |
SGLT2阻害薬 | フォシーガ等 | 約150〜220円 | 約45〜85円 |
α-GI薬 | グルコバイ等 | 約7〜15円 | 約2〜4円 |
チアゾリジン薬 | アクトス | 約30〜60円 | 約10〜20円 |
イメグリミン | ツイミーグ | 約90円 | 約27円 |
GLP-1受容体作動薬 |
マンジャロ2.5mg マンジャロ 5mg マンジャロ 15mg オゼンピック 1回キット リベルサス 3mg リベルサス 7mg リベルサス 14mg |
1,924円/週 3,848円 /週 11,544/週 11,151円/週 139.6円/日 325.7円/日 488.5円/日 |
577円/週 1,154円/週 3,463円/週 3,345円/週 42円/日 98円/日 147円/日 |
※GLP-1受容体作動薬は、週1回投与。
最後に
糖尿病治療の現場では、医療情報が最新ではなく、昔から使われている薬のまま治療が続いている場合や、医師側の都合で「管理が面倒だから」と治療方針が最適化されていないこともあります。
例えば、インスリン治療は非常に管理が煩雑なため、できれば避けたいと考える医師もいます。
こうした現実を知ることは、患者さんが自身の治療を理解し、納得した上で最適な治療を受けるために非常に重要です。最新の治療や“寛解”の可能性について知ることで、より安全で効果的な糖尿病管理につなげることができます。
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