朝バナナで血糖値が上がる?50代から始める正しい食べ方5選
監修: 薗田憲司(内科医師・糖尿病専門医)| そのだ内科クリニック
「朝バナナを続けているのに、HbA1cが下がらない」——このような相談を診察室で頻繁に受けます。バナナは手軽で栄養価も高い果物ですが、食べ方を誤ると血糖コントロールの妨げになる可能性があります。特に50代以降は、インスリンの分泌能力が低下しやすい年代であり、食べ方への配慮がより重要です。
この記事では、バナナの健康効果を最大限に引き出す方法と、血糖値への影響を抑える具体的な組み合わせをご紹介します。
朝バナナが血糖値を急上昇させる理由
結論:空腹時にバナナを単体で食べると、血糖値が急激に上昇しやすくなることが知られています。
バナナは果物の中でも糖質量が比較的多く、可食部100gあたり約21gの糖質を含んでいます。朝の空腹時にバナナを単体で摂取すると、糖が一気に吸収されて「血糖値スパイク」が起こりやすくなります。
血糖値スパイクは、食後の眠気や倦怠感だけでなく、インスリン感受性の悪化、動脈硬化の進行リスク、強い空腹感による過食などを引き起こす可能性があります。
50代女性の患者さんで、「健康のために」と毎朝バナナ1本を空腹時に食べる習慣を始めたところ、3か月後のHbA1cが7.2%から7.5%に上昇していたケースがありました。このように、一見健康的に思える習慣でも、食べ方次第では逆効果になることがあります。

バナナの正しい食べ方~2つの基本原則~
結論:バナナの健康効果を引き出すためには、「摂取量の管理」と「他の食材との組み合わせ」が重要です。
原則①1日1本を目安にする
バナナ1本(約86kcal、糖質約21g)は、食パン6枚切り1枚(約160kcal、糖質約27g)と比較すると、満足感が得られやすい食材と言えます。ただし、2本、3本と食べてしまうと糖質量が過剰になる可能性があるため、1日1本を基本としてください。
原則②タンパク質や脂質と組み合わせる
タンパク質や脂質は、糖質の消化・吸収スピードを緩やかにする働きがあります。ヨーグルトなどのタンパク質を含む食品とバナナを一緒に摂取すると、バナナ単体で食べた場合と比べて食後血糖値の上昇が緩やかになることが示唆されています。
バナナと組み合わせたい食材5選
結論:以下の食材とバナナを組み合わせることで、血糖値への影響を抑えながら健康効果を高めることが期待できます。
1. ハイカカオチョコレート(カカオ70%以上)
カカオポリフェノールには、糖の吸収を緩やかにする作用があると報告されています。ある研究では、カカオ含有量84%のチョコレートを8週間摂取した2型糖尿病患者において、空腹時血糖値、HbA1c、LDLコレステロールの有意な低下が認められました。
1日25g程度(5g×5片)を目安に。細かく砕いてバナナにふりかけます。
2. きなこ(大豆粉)
良質な植物性タンパク質を含み、タンパク質を一緒に摂ることで消化吸収が緩やかになり、血糖値スパイクの抑制が期待できます。
バナナにきなこをまぶす(大さじ1〜2杯)、または無調整豆乳100ml+バナナ半分+はちみつ小さじ1でスムージーにします。
3. 純ココア
純ココア(砂糖やミルク不使用)には食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境の改善に寄与する可能性があります。腸内環境が整うとインスリン感受性の向上につながることが示唆されています。
小さじ1〜2杯の純ココアに、少量のぬるま湯とオリゴ糖小さじ1杯を混ぜてバナナと和えます。
4. シナモン
シンナムアルデヒドという成分が、血糖値の上昇を抑える可能性があることが複数の研究で示唆されています。また、血流を促進する作用があると考えられており、冷え性の改善や基礎代謝の向上が期待できる可能性があります。
小さじ0.5杯程度をバナナにふりかけます。シナモンシュガーではなく、純粋なシナモンパウダーを選んでください。
5. ナッツ類
アーモンド、くるみ、カシューナッツなどには不飽和脂肪酸と豊富なミネラルが含まれています。不飽和脂肪酸はインスリンの働きをサポートする可能性が示唆されています。また、咀嚼回数が増えることで満腹中枢が刺激され、満腹感が得られやすくなります。
1日あたり片手に軽く1杯(約20〜30g)。素焼き・無塩のナッツを選んでください。

よくある質問(FAQ)
バナナは毎日食べても大丈夫ですか?
1日1本程度であれば、多くの場合問題ないと考えられます。ただし、腎機能が低下している方はカリウムの摂取に注意が必要です。主治医に相談してください。
バナナの熟し具合で血糖値への影響は変わりますか?
熟したバナナは糖度が高く、血糖値の上昇がより急激になる可能性があります。やや未熟な(緑がかった)バナナには難消化性デンプンが多く含まれ、血糖値の上昇が緩やかになることが報告されています。
糖尿病でインスリン注射をしていますが、バナナを食べても良いですか?
適切な量と組み合わせを守ればバナナを食べることは可能ですが、インスリン量の調整が必要になる場合があります。必ず主治医や栄養士と相談してください。
バナナジュースやスムージーにしても効果は同じですか?
ジュースやスムージーにすると、咀嚼回数が減り、血糖値の上昇がより急激になる可能性があります。無調整豆乳やヨーグルト、きなこ、野菜を加える工夫をしてください。
まとめ
バナナは、食べ方を工夫することで50代以降の健康をサポートする有用な食材となり得ます。重要なのは「何を食べるか」よりも「どのように食べるか」です。
空腹時の単体摂取を避け、1日1本を目安に、ハイカカオチョコレート、きなこ、純ココア、シナモン、ナッツなどと組み合わせることで、血糖値への影響を抑えながらバナナの健康効果を活かすことが期待できます。
効果には個人差があり、糖尿病の管理は食事だけでなく総合的なアプローチが必要です。食事内容の変更を行う際は、必ず主治医や栄養士と相談してください。
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参考文献:
- Mellor DD, et al. Diabet Med. 2018;35(12):1664-1670.
- Allen RW, et al. Ann Fam Med. 2013;11(5):452-459.
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
免責事項:
本記事は医学的な情報提供を目的としており、特定の治療法や食事法を推奨するものではありません。糖尿病の治療や食事管理については、必ず主治医や管理栄養士にご相談ください。本記事の情報を利用した結果生じた損害について、筆者およびクリニックは一切の責任を負いかねます。


