血糖値が下がらない原因は?やりがちな食事の選び方と解決策
監修:薗田憲司(内科医師・糖尿病専門医)|そのだ内科クリニック
「自分なりに食事に気をつけているのに、なぜか血糖値もHbA1cも改善しない」——そんなお悩みを抱えて当クリニックを受診される患者さんは少なくありません。実は健康的に見える食習慣の中に血糖値を上昇させる"見えない落とし穴"が潜んでいるケースがよくあります。この記事では、糖尿病専門医として年間10000件もの患者さんを診てきた経験から、頑張っているのに血糖値が改善しない方に共通する朝・昼・夜の「やりがちな失敗例」と、改善策をご紹介します。
なぜ「頑張っているのに血糖値が下がらない」のか
血糖値やHbA1cが改善しない背景には、単なるカロリー不足や食事量の問題だけでなく、食事の「質」「バランス」「タイミング」が関係していることが多いです。また、頑張りすぎることは一時的に体重が減ったり血糖値が低下したように感じても、長期的には血糖値が乱れやすい体質を作ってしまうこともあります。
血糖値が下がらない失敗例~朝食~

①フルーツたっぷりのスムージーや市販の野菜ジュース
手軽に摂取できるスムージーや野菜ジュースは、想像以上の糖質が含まれている場合があり、血糖値の急上昇につながります。液体であるため固形のものと比べ糖の吸収速度が速くなり、スパイクによる血管への負担も懸念されます。実際の例として、毎朝コンビニで野菜ジュースを飲んでいた患者さんはHbA1cが上昇していました。ジュースの内容を工夫することで改善に繋がります。
無調整豆乳とバナナを使った自家製スムージーであれば、糖質・たんぱく質・脂質のバランスが整い、血糖値の急上昇を抑えてくれます。
バナナの自然な甘みで美味しく飲めます。もっと甘さが欲しい場合はラカントなどの天然甘味料を加えるのも良いですね!
注意点:市販の調整豆乳には糖質が多く含まれているので無調整豆乳を選びましょう。
②サバの塩焼き定食など高カロリーな和定食
サバの塩焼きは脂質が多いため、一切れが400〜500kcalになることがあります。白ごはんと一緒に摂取すると、糖質と脂質を同時に多く摂ることになり、朝食としてはカロリーが多くなってしまいます。ある和食チェーン店のサバの炭火焼き定食は約874kcalと、高カロリーであることが分かります。PFCバランスや食材の質としてはとても良いため、食べる場合は1食80~100ℊ(170~210kcal程度)を目安にしてみてください。
おにぎり+味噌汁+納豆+めかぶ+刻みオクラ
糖質をおにぎりで摂り、納豆・めかぶ・オクラといったネバネバ食材を組み合わせることで、食物繊維と発酵食品を同時に取り入れることができます。これは腸内環境の改善にも繋がりますし、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。コンビニでも揃えやすいのも良いですね!
③朝食を食べない
朝食を抜くと、血糖値を調整するインスリンの働きに影響が出る可能性があり、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなると報告されています。さらに、朝食を抜いた場合、その後の昼食や夕食後の血糖値も高くなる傾向があることが研究で示されています。数回程度であれば大きな影響は考えにくいかもしれませんが、習慣化するとHbA1cを悪化させる可能性があります。
また、1日2食になることは無駄な間食やドカ食いにつながります。朝食欠食が習慣化すると、脂肪を溜め込みやすい体質を作る可能性があります。血糖値やHbA1cを改善したいのであれば、バランスの取れた朝食を少量でも摂ることが近道です!

血糖値が下がらない失敗例~昼食~

①寿司をたくさん食べる
一貫あたりのシャリは約15〜20g、糖質量は約6〜8gとされています。12〜14貫食べると糖質摂取量は約72〜112gになり、1度の食事としては糖質過多になる可能性があります。さらに、酢飯には味付けのために砂糖が使われており、見た目以上に糖質が含まれています。魚のたんぱく質やEPA・DHAは健康に役立ちますが、シャリの糖質が血糖コントロールを狂わせる要因となるため7~8貫を目安にしてみましょう。
おにぎり+茶碗蒸し+焼きシャケ
おにぎりは酢飯のように砂糖が使われていないため、余計な糖質を摂ることがありません。茶碗蒸しは低カロリーで高たんぱく、温かいため満腹感も得やすいとされています。焼きシャケで良質な脂質を摂りつつ、余計な油を加えない分カロリー過多も防げます。
②市販の蕎麦をよく食べる
市販のそばの多くは小麦粉がたくさん使われています。蕎麦粉と小麦粉の割合はメーカーによって異なりますが、中には小麦粉が大半を占める製品もあります。小麦粉は糖質ですので、ヘルシーだと思って食べていた方は注意が必要です。さらに、天ぷらがトッピングされると糖質と脂質が同時に摂取されることになり、血糖値もカロリーも上昇しやすくなります。
昼食にそばを選ぶ場合は、十割蕎麦を選びましょう!天ぷらを乗せる場合も、かき揚げではなくイカ天や海老天などのたんぱく源を選ぶことで、血糖値の急上昇を抑えることに繋がります。
③サラダボウルのみ
「サラダボウルだけ」という食事内容は、エネルギー不足により空腹を招きやすいです。無駄な間食や夜のドカ食いにつながり、逆効果になることも。夜は活動量も減り、脂肪を蓄えやすい時間であるため、昼にサラダだけで抑えることは、夜のリスクを先送りしている可能性があります。
昼にしっかりと栄養を摂ることが、結果的にHbA1cや体重を安定させる近道と考えられます。昼食ではたんぱく質や適度な糖質も含めた、バランスの取れた食事を心がけましょう。サラダボウルのお店であっても玄米など、適度な糖質を取り入れるようにしましょう。
血糖値が下がらない失敗例~夕食~

①カレーライス
カレーライスは野菜も肉も入っていますが、ルーに小麦粉と油が多く使われています。白ごはんと組み合わせることで、糖質と脂質の過剰摂取が懸念されます。カレーライスは塩分も多く味が濃いので、ご飯をおかわりしたくなる点も注意が必要ですね。夜は活動量が減る時間帯であるため、消費しきれなかった糖と脂質はそのまま脂肪として蓄えられやすくなります。
具材の旨みや栄養をギュッと凝縮した無水カレーであれば、美味しく楽しみながらカロリーを抑えることができます。ご飯の量を適量にし、カロリーオフのルーに変えるだけでも糖質とカロリーを抑えられますよ。また、ご飯にもち麦を加えたり、きのこ類・野菜を多く入れたり、食前に生野菜を食べるといった工夫も有効です。
②ハンバーグ
ハンバーグはお肉でたんぱく質が摂れると思われがちですが、脂質やカロリーが高く、注意が必要です。ケチャップやデミグラスソースには砂糖が多く含まれていることもあり、血糖値を上げる要因となります。さらに、高温調理されたお肉にはAGE(終末糖化産物)が多く含まれ、体内に蓄積すると動脈硬化や糖尿病合併症の悪化、骨粗しょう症の進行などに関与することが報告されています。
お肉の代わりにお豆腐やおからでタネを作る、和風おろしソースにするといった工夫で、脂質やカロリーを抑えることができます。また、低温でじっくり煮込むことでAGEの発生も抑えられます。
③パスタ
パスタの主成分は小麦粉であり、麺だけでも糖質の量が多くなります。夕食となると「しっかり食べたい」と量も多くなりがちで、クリームソースやミートソースなど、脂質と糖質がダブルでのしかかる組み合わせになることも多いです。
麺の量を半分にして、代わりにきのこや野菜をたっぷり加えることで、糖質を抑えつつ満足感を得ることができます。鶏肉を加えればたんぱく質も摂れます。全粒粉や低糖質パスタもおすすめです。同じパスタでも、ちょっとした工夫で血糖コントロールへの影響は大きく変わりますよ!
④「冷奴」のみ
夕食を「冷奴だけ」にしてしまうと、糖質が極端に不足し、夜中にお腹が空いて間食につながります。さらに、総カロリーやPFCバランスが偏ることで、エネルギー不足により代謝が下がりやすくなったり、満足感が持続しにくくなったりする可能性があります。健康的に抑えたつもりが、かえって血糖値を乱す食べ方になりかねません。
冷奴=ヘルシーだから安心と捉えるのではなく、あくまで副菜の一つと考え、主菜や他のおかずと組み合わせることが推奨されます。
血糖値を下げる食事の3原則

①総カロリーを適切に管理する
1日の総カロリーが適切であることが最も基本です。どんなに健康的な食材を選んでも、カロリー過多になれば血糖値の改善は難しくなります。逆に少なすぎても代謝の低下に繋がります。自分の活動量や体重に合わせた適正カロリーを把握し、それを守ることが第一歩です。
②PFCバランスを整える
PFCとは、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のことです。これらのバランスが偏ると、血糖値が乱れやすくなったり、満腹感が得られにくくなったりします。1日の食事全体でバランスを見ることが大切です。
③食べ物の質にこだわる
同じ糖質でも、精製された白米やパンと、全粒粉や雑穀米では血糖値への影響が異なります。また、調理法によってもカロリーや栄養価は変わります。食材の質や調理法にも注意を払うことが、長期的な血糖コントロールにつながります。
よくある質問(FAQ)
血糖値が下がらない一番の原因は何ですか?
血糖値が下がらない原因は一つではありませんが、多くの場合、食事の「総カロリー」「PFCバランス」「食べ物の質」のいずれか、または複数が乱れていることが考えられます。
朝食を抜くと血糖値はどうなりますか?
朝食を抜くと、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなると報告されています。さらに、その影響は1日を通じて続く可能性があり、夕食後の血糖値も高くなりやすいとされています。習慣化するとHbA1cの悪化につながる可能性もあります。少量でも良いので、朝食を摂ることをおすすめします。
糖尿病の人はスムージーや野菜ジュースは飲んではいけないのですか?
スムージーや野菜ジュースが一律にダメというわけではありません。問題は「何を使って作るか」「どのくらい飲むか」です。フルーツを多く使ったものや、市販の飲みやすい野菜ジュースには糖質が多く含まれている場合があります。無調整豆乳とバナナを使った自家製スムージーなど、糖質・たんぱく質・脂質のバランスを考えたものであれば、血糖値への影響を抑えやすくなる可能性があります。
糖尿病の人はサバなどの青魚は食べない方が良いのですか?
サバなどの青魚に含まれるDHAやEPAは健康に良い脂質とされており、摂取すること自体は推奨されます。ただし、カロリーが高い点には注意が必要です。サバの塩焼き一切れで400〜500kcalになることもあるため、白ごはんと一緒に食べる場合は量を調整するなどの工夫が必要です。
糖尿病の人はお寿司は食べてはいけないのですか?
お寿司を完全に避ける必要はありませんが、シャリ(酢飯)には糖質が多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。ネタによってはカロリーや糖質を抑えながら楽しむことも可能です。量を控えめにする、糖質の少ないネタを選ぶなどの工夫をすることで、血糖値への影響を抑えやすくなる可能性があります。
そばは血糖値に良いですか?
市販のそばの多くは小麦粉が多く使われており、必ずしも低糖質とは限りません。十割蕎麦を選ぶことで、蕎麦粉の栄養をしっかり摂ることができます。また、天ぷらなどのトッピングにも注意が必要です。そばを選ぶ際は、蕎麦粉の割合やトッピングの内容を確認することをおすすめします。
まとめ
糖尿病で血糖値が改善しない理由は、単にカロリーや食事量の問題だけではなく、食事の「質」「バランス」「タイミング」が関係していることがわかりました。大切なのは「1に総カロリー、2にPFCバランス、3に食べ物の質」を念頭に置き、1日トータルでバランスを見ることです。
ただし、血糖値やHbA1cの改善には個人差があり、同じ食事内容でも反応は人それぞれです。この記事で紹介した内容はあくまで一般的な傾向であり、すべての方に当てはまるわけではありません。ご自身に合った食事療法については、必ず主治医や管理栄養士にご相談ください。
糖尿病治療は長期的な取り組みです。完璧を目指すのではなく、続けられる工夫を見つけることが何より大切です。一緒に無理なく血糖コントロールを続けていきましょう。
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参考文献:
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
- Jakubowicz D, et al. "Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial." Diabetes Care. 2015;38(10):1820-6.
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 日本循環器学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」
- 国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
- 大戸屋さばの炭火焼カロリー
免責事項:
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療法や製品を推奨するものではありません。記事の内容はあくまで一般的な情報であり、個々の患者さんの状態によって適切な対応は異なります。血糖値やHbA1cの改善には個人差があり、食事療法の効果も人それぞれです。本記事の内容を実践される場合は、必ず事前に主治医や管理栄養士にご相談ください。また、自己判断での治療中断や薬の変更は危険ですので、おやめください。
記事更新日:2026年2月12日


